消えない傷跡
「あっはエメットどうしたのその三本線!」
傑作ー!とげらげら笑い転げる同じ顔をひねり潰してやろうかと一瞬本気でエメットは思った。
「んで、どうしたのそれ」
打って変わって少しだけ心配そうに問いかけてくるのでどうにか思いとどまる。
しかし一番こういった心配をしなさそうな人間に心配されたというのはエメットのプライドだとか、そういったものを容赦なくぼこぼこにしていった。
「チョロネコにひっかかれた」
「チョロネコなんて持ってたっけ?」
「お客の!」
不自然に声を張り上げたエメットの剣幕に、クダリはそれ以上口を挟まなかった・
「そういえばさぁ、エメット結局あの彼女とはどうなったの?」
昨日お泊りだったらしいけど、その顔で行ったなんてさぞ心配されたでしょ?
思わせぶりにそう聞いてくるクダリを、エメットは無言で蹴り飛ばした。
消えない爪痕
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