浮気性なパパラッチ
「久しぶり。最近私のところに来てくれていないね。」
ごつい一眼レフで一心不乱に連写している私に近づいて彼はそう言った。
「あぁお久しぶりですスカイハイさん。」
バーナビーの写真でメモリが五割ほど埋まったところで私は彼に向き直る。
「またキングオブヒーローの特集ページでも作るのかい?私のときみたいに」
「まぁそんなところです。需要ありますから、どうしても」
「もう私のところには来てくれないのかい?」
仕事ですからね、と答えかけてぎょっとした。何故そんなにしょんぼりするんだ。
「あー……でも、そうですねあれですよ、もしスカイハイさんがキングオブヒーローに返り咲いちゃったりなんかしたらそれはとってもメディア的に美味しいのでまた取材に伺うことがあるかも、です」
もちろん断定はできないけど。すると彼はぱぁっと明るくなった。けれどすぐまたしょんぼりする。
「取材じゃないと会いに来てくれないのかい?」
「そ、そういう関係じゃあないでしょう。私達」
「そういう関係とはどういう関係だい?」
この天然イケメンが、と怒鳴りそうになった。が、取材対象にそんなことする訳にもいかない。
一呼吸置いて私は彼に微笑みかけた。
「あなたからは会いに来てくださらないんですか?」
浮気性なパパラッチ
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