あちらこちらどちら
高尾和成という男は人を見つけ出す天才である。したがって私は彼とはぐれてもすぐ合流することができる。
「なんではぐれる事前提にしちゃうかなぁ」
心底呆れるような顔をされた。真に不本意である。
「私が余所見ばかりしてるから」
「……そうだね理由はわかってるんだね自覚してるんだね」
やれやれと額を押さえる高尾。
「ね、もう俺もさすがに毎回毎回探すのは嫌だからさ、」
私の左手に手を伸ばす。
「手、繋いでよっか」
「そ、そうだね？」
「なんでそんな煮え切らない口調なの」
「照れてる」
「自己申告どうも」
あちらこちらそれはどちら
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