囈語のように呟く

(どうせ、なんとも思ってないのでしょうね、私のことなど。)

本日もバトルサブウェイへの挑戦まことにありがとうございます、と私は彼女に向かって頭を下げました。

トウコ様と仲がいいというその方は、ここ最近、毎日のように挑戦しに来ておりました。
「今日は負けませんからね、」

そう言う彼女の笑顔はあまりに魅力的で、私はそれに対する動揺をできるだけ外に出さないようにするのが精一杯でした。

「それは楽しみにしております」

私は制帽を深く被りなおすと、シャンデラの入ったボールを取り出しました。

「では、参りましょうか」

勝負を終えた後のささやかな会話が何より楽しみだなんてサブウェイマスターとしてあるまじきことなのでしょうけれど。

「毎日会いに来ているのになんとも思われていないのですかね」

「…………なにかおっしゃりましたか?」

「いえ、何も」

心なしか彼女は少しだけ沈んでいるように見えました。

私でよければいくらでも相談に乗ろう、と、この勝負が終わったら持ち掛けてみましょうか


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