まったく愚かな二人だとは思うのですが、その愚者二人をワタクシは嫌いになれないのです。
とくにそのうちの一人は、彼女は、ワタクシの思い人でございます。
しかしながら彼女は愚か者一号であるところの彼と恋仲なのです。
えぇ嫌と言うほど知っていますとも。
しかも彼女らは自分を犠牲にしてまでも互いを生かそうとするのですからまったくもって哀れなものです。
それを繰り返していくうちに二人の結束が固くなってしまうなんてまったくワタクシはなんて道化なのでしょう。
(あぁもうこれで何回目でしょうか)
いえ、もう何万回目、でしょうね。
もうワタクシの――彼女に綺麗だと誉めていただいた――この透き通るような金髪も何もかも、二人の返り血で真っ赤に染まってしまう程度には繰り返したのですから。
「もういい加減、諦めましょうかネ」
そう呟いたワタクシの体を鉄骨が貫いていきました。
最期に目に入ったのは、彼女の驚いたような顔で、
ざまぁみろよ、と呟いた声は彼女に届いたでしょうか。
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着想/カゲロウデイズ