こんなにとんとん拍子に事が進むとは


再就職先があっさり決まりそうな件について。

本当にもうノボリさんには頭が上がらない。

正直前の職場の一部でポケモン開放運動だとかをやっていた時点で、怪しいと気が付くべきだったとかそういう後悔は置いておいて。

「でも私鉄道関連の仕事何もできませんけど」

するとノボリさんは、些細な問題でございますと一蹴した。

「バトルスタッフという制度がございます。」

聞けばその制度は一般人の中で、バトルが強い人をスカウトして、「てつどういん」としてバトルサブウェイでバトルしてもらう、という事らしい。

「ですから、基本的にはバトルのみですかね。まぁ、迷子案内程度の仕事はやってもらいますが。」

「……それ、めちゃくちゃ破格な待遇じゃないんですか」

私がそう言うと彼は少し笑った(気がした)

「引き受けていただけますか?」

「はい」

自分にとって断る理由は何も無かった。というよりノボリさんに断る理由を無くされた。
「あ、でも」

「どうかなされましたか」

「バトルスタッフになっても、ノボリさんとクダリさんには挑戦できますよね」

なんだかんだでまだお二人に一度も勝てていないし一緒に挑戦出来るような知人も居ないのでマルチにも挑戦できずじまいだ。

彼は少しだけ沈黙した後、えぇ、と口を開いた。心なしか少しだけ表情が柔らかい。

「もちろんでございます。バトルサブウェイは挑戦者を拒みません。それがたとえサブウェイマスターでも。」

「じゃ、じゃあ挑戦者としてノボリさんやクダリさんが来たりとかするんですか!?」

「そういった可能性もございます」

もしそんな事があれば、なんて考えると

「楽しみすぎる……」

呟いたその言葉は幸いにもノボリさんには聞こえなかったらしい。

「おや、」

もうギアステーションに着いてしまったようなので、ノボリさんとは夜に詳しい話をするという事で(つまり私はまた彼らの所に世話になるという事で)別れた。