「あらそれはごめんなさいね」
電話越しにカミツレは面白そうな口調でそう謝った。
「それ謝罪に聞こえないんだけど」
「いえ本当に申し訳ないと思ってるのよ。今度ご飯おごるわ。」
「あの子も一緒にね」
「もちろん」
そんなことより、とカミツレは話題を変える。
「クダリに助けてもらったんだって?」
「……まぁ、うん」
クラウドさんもいたけど、と言ったらカミツレはそれはそれとして、と一蹴した。
「そういえばつり橋効果ってあるじゃない」
「何が言いたいの?」
「ちょっとはどきどきしなかったかしら」
「誰に?」
双子の白いほうの彼の名をカミツレは告げた。
「しないよ」
「それは残念。でもねえアケビ、もうそろそろ腹くくった方がいいと思うわよ」
ほうら今までなあなあだった分のツケよ。
「…………言ってる意味がわからないんだけど。遅いから切るね。」
あっさりと引き下り、通話を切ったカミツレ。後に残された電子音を聞きながら私は思う。
(ちょっと強引すぎたかもしれない。絶対あとで面白がられる)
(そうして全部わかったような口調でからかわれるのだ、)