客が増えた。マナーの悪い客が増えた。
したがってゴミが増えた。ポイ捨てされているゴミが増えた。
七個のゴミ袋を持って私は来た道を戻る、後ろからヤブクロンがぽてぽてと着いてくる。
私は無意識に一つため息をついた。
「アケビさん!」
声をかけられて振り向くと、この前のカミツレの被害者であるところの彼女である。
半分持ちますよ、と言われ、断るのも違うような気がして一つ持ってもらう。
適当な世間話(大体カミツレの事。被害者?であるところの彼女が気にしてなくて本当によかった)をしながら始発ホームへ戻ってくる。と、
かしゃり
シャッター音がいくつも聞こえた。狙われているのは多分、私じゃあなくて、
とっさに彼女を背中にかばう。
「うちの職員は撮影禁止です!」
駆けつけて来たらしいクラウドさんの怒号が飛んだ。見るとクダリさんも一緒である。やんわりと客からカメラを取り上げている。
「クダリ、」
ほっとして一瞬身体の力が抜けそうになる。クラウドさんとクダリによってほぼ無人となったホーム。
「なんで、こんなことに」
クダリが無言で出したその三文ゴシップ誌には、彼女とカミツレの例のツーショットがそりゃもうばっちりと写っていた。