暇になったからライモンに来た。
とはいえ旅の計画は前からあったし、ライモンシティには特に行ってみたかったのだ。
ライモンシティの中でもバトルサブウェイに挑戦するのが一番楽しみだった。
そして今日、念願叶ってシングルとダブルに挑戦できた。
ノボリさんもクダリさんもすごく強くて、とても楽しいバトルだった。
しかし一つ誤算だったのが、今日無理やりお二人と一気にバトルしようとしたせいで、クダリさんとのバトルが終電回になり、しかもそれが少し、いや、大分長引いたことである。
気が付くともうポケモンセンターは閉まっていた。さすがに。
何分あと一時間もしないうちに日付が変わるほどである。
正直一食抜くくらいの空腹はどうとでもなるが、さすがに街中で野宿はまずいだろう。
いろいろと。捕まる。
というわけで考え付いたのがシングルトレインのホームである。
できるだけ迷惑にならないように(今更だが)縮こまっていたところをノボリさんに回収された訳である。
「……つまりレイシ様は、今日行くところがない、という事でございますね?」
「……はい」
しかも先ほど盛大に腹の虫が鳴いたので、夕食抜いてる事だとかそういうのもいろいろ
ばれている。
ノボリさんは私の返答にしばらく考えた後、私に向かって、一つ提案がございますと言った。
「私の家に、今晩お泊めする事ができます。」
正確には、私の弟の使っていた空き部屋ですが、と彼は言う。
ノボリさんいわく、お二人はそれぞれマンションの部屋を一つずつ持っている。
しかしクダリさんがいつの間にかノボリさんの部屋に居座るようになり、その結果元ク
ダリさんの部屋が今、空き部屋と化しているそうである。
「空き部屋とはいえ、私が定期的に掃除をしていますし、家具も一揃い付いております。一晩程度なら全く差し支えはないかと。あぁあと食事もまだならご一緒にいかがです?」
悪い話どころか最高の条件である。
「でもあの、そんな、ご迷惑をおかけするわけには……!」
私がそう言った瞬間、駅長室(?)のドアが勢いよく開いた。
「ノボリ!ボク見回り終わった!帰ろ!」
入ってきたのはクダリさんである。彼は私の存在に気付くと、ぱっと顔を明るくする。
「さっきの強い子だぁ!」
バトルとっても楽しかったよ!とにこにこ笑うクダリさん。
そもそもあなたとのバトルが長引いたせいでしょう!とノボリさんがクダリさんに私の事をかくかくしかじかと説明する。
そしたらクダリさんはなんだそんな事ならと私の手をがしりと掴み(かなり痛い)僕らのうちに来なよ!ノボリの料理おいしいよ!と彼らの家に引っ張って行った。
ノボリさんがクダリさんに呆れながらも少しだけほうと安堵していた気がする。