あのどこかの双子車掌色のシャープペンシル


こつん、と何かが私のゴム長靴に当たった。拾い上げて見ると黒と橙の縞のグリップをしたシャープペンシルだった。そして私はこれの持ち主に心当たりがある。

そう、今まさに停車した電車から降りて私に手を振っている彼である。

「クダリ!」

「ごめんねいつもいつも」

「よくこんなにぼろぼろ物を落とせるものだね」

彼にシャーペンを渡すと彼は私にぺこりと一礼した。

「はい、お礼」

いつもどおりコートのポケットから飴玉を取り出す

毎回味は変わっていて、今日は季節に合わせたのか、ピンクの包み紙の、つまりはイチゴ味である。

ころり、と私が差し出した手のひらに乗せられたそれを大事につなぎのポケットに入れる。

さすがに仕事中に食べるわけにはいかないので(そんな現場ノボリもしくはクラウドさんに見つかったら最後、説教三時間ルートである)帰り道一人で飴玉を転がしながら歩くのだが、これがひそかな楽しみなのである

それにしても彼は、こんな極端にぬけているような性格だったっけ。