最近、ノボリさんとまともに話していない事に気がついた。
と、いうよりノボリさんに一方的に避けられている気がする。
まだ続いている家までの送迎がクダリさんに代わって一週間。
「レイシサン、ノボリサンカラ書類デス」
しかもこういった業務系の必要最低限すら会おうとしてくれない。
毎日残業で遅く帰ってくるので会いに行くわけにも行かない。
朝はクダリさんが弁当の受け渡しをしたりしてくれる。
こうやって会いに行くための口実がない、というか潰されている現状、無理やり会いに行くのは得策ではない気がする。
一週間前、といえばあの、私が告白された日からだが、関係があるとは思えない。
そもそもそのことはクラウドさん以外知らないはずである。
ちなみに返事は保留させていただいた。だってまだ二回会っただけなのだ。
(ノボリさんとは違って)
そんな事をつらつらと考えつつ私は今日の持ち場であるシングルトレイン、のホームへと向かった。
(あ、)
ホームには久しぶりに見た気がするノボリさんとい、何故かカミツレさんがなにやら話しこんでいた。
ここからじゃ会話は聞こえないのだがなにやらノボリさんは難しい顔をしており、カミツレさんは優しく笑っている。
見るだにいい雰囲気で、やはりあの二人は仲がいいんだなとそう思った。
「…………」
すると何故だかもやりとした。これじゃあまるで私がノボリさんの事を、
考えをまとめる前に突然ひょいと体が浮いた。私を持ち上げたのは
「クダリさん!?」
何故シングルに、と私が聞く前にクダリさんは私をかついでダブルとレインのホームへ駆け込んだ。
そしてタイミングよく開いたドアに私をぽいと放り込んだ。
私があっけにとられているとクダリさんはにっこり笑って、ばいばいと手を振った。
「二十連勝して、また僕に会いに来て?」
ぷしゅう、と閉まったドア。向こうから入って来たのはサラリーマンである。
……確か今の手持ちは、ちょうど四匹。シングル用の三体に加え、たまたまウルガモスを手持ちにいれてあったのだ。
偶然に感謝しつつ私は、相手に対峙した。