あれほどぎくしゃくしていたクラウドとレイシ様でしたが、この前の二人のバトルは大変すばらしいものでした。
ですが、
「私との方が、レイシ様の実力を十二分に発揮して差し上げられると思うのです。」
つい、クダリにそうぼやくと、クダリは小首をかしげて
「嫉妬だ」
と言いました。
「そんなものではありませんよ」
否定はしてみせましたが、確かにこれは嫉妬なのかもしれません。
「僕もレイシと組んで戦ってみたいなー」
「駄目です」
「ずいぶんきっぱり言うね?」
クダリが面白そうに笑いました。
「今度、レイシ誘ったら、マルチにでも」
スーパーマルチでもあの子大丈夫だと思うけどね、とクダリ。
「そもそも彼女が私共に勝てないのは、私共が原因ですし。」
「あぁやっぱりノボリも本気だった?」
「少々加減を忘れてしまいました」
「少々どころじゃないくせにー」
二人でそう適当に雑談しながらホームを歩いていると、前方にレイシ様が見えました。
「ほら、行ってらっしゃい」
「えっ!?」
クダリにどん!と背中を押され私はレイシ様に危うくぶつかりそうになりました。後でしかっておかねばなりません。
何とか踏みとどまった私は、振り返ったレイシ様に私は居住まいを正してから口を開きました。
「レイシ様、もしよろしければ、私ともマルチトレインに挑戦してくださいませんが。」