Story
夏の一風景


夏休み、午後一時。昼食も終え、僕が宿題を消費していると部屋の入り口から、


ガツンと何かを蹴った音が聞こえた。それと痛!という愚兄の声。


何をしたのと振り返ると足を押さえてしゃがみこんでいる兄と散らばっている白い灰、あと緑の欠片。


「蚊取り線香蹴飛ばしちゃったの?」


僕が呆れてそういうと兄さんは悪ぃ、と頭をかく。


「兄さんが戻しておいてよ」


「うーい」


兄さんは生返事して灰を片付け、蚊取り線香をセッティングしなおす


「…………」


火を点けなおす段階になって兄さんはじっと自分の手を見つめる。正確には指先。


「ちょっと兄さん!寮全部消し炭にするつもり!?」


僕がそう呆れ半分で声をかけると兄さんはまたわりぃ、と笑い素直にマッチを取りにい
った。


まったく、横着するから。


それにしても兄が帰ってきてから十数分、まったく課題が進んでいない



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夕日リク/奥村兄弟と蚊取り線香。
夏は過ぎ去ったのに


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