Story
「一体これはなんの冗談ですか」
彼女が私に抱きつき白い首筋をあらわにしているのです。
私がなにものなのか、彼女は把握しているはずなのに。
「冗談みたいなのはノボリさんでしょう」
吸血鬼のくせに、と彼女が笑う気配がしました。
「私の血を吸えばいいじゃない」
「そんな事は、」
できるわけないでしょうと言いかけた所で彼女が私の唇に軽くキスをしました。
「冷たい。」
「それはそうでしょう」
「ねぇノボリさん、全部あげるよ」
私の血も、体も、命も、心も、全部、
「それは人間としての私にでございますか」
「私はノボリさんに全部あげるって言ったの」
そうにっこりと笑う彼女の首筋に私は噛み付いた。
(これだから私は彼女を、手放すことができない)
人間としても食料としても私は彼女を愛している。
それでもきっと私は、純粋に人間として彼女を、愛したかったのです。
もしも彼女が私の元から離れるようなことがあればそのときは無理やりにでも私は彼女
と一緒に、おちていくのでしょう。
そう思いながら彼女の首筋から口を離し、顔を上げると彼女と目が合いました。
しばしの沈黙の後、にこりと彼女が微笑みました。
あぁ、見透かされている。
------------------------------ノボリさんは吸血鬼だけど紳士なので恋人の血は極力吸いたくありません。
そんで騙し騙し輸血パックで頑張ってたけども限界が来て、それを夢主氏は気が付いているという話。
個人的には夢主氏と出会う前のノボリさんは結構、人間=食料としてみている気がします。某ハートアンダーryのようだ。
やっぱり種族を超えたうんたらはいいよねという今回の企画。