Story
ぬくもり


「マスター、」


その呼び方はやめろと言っているのにいつまでたっても改められる気配はない。


まあこいつと会ったばかりの時の名前に様付けやらご主人様よりはマシなのかもしれないが。


「なんだ」


「手、触っていいですか?」


「……好きにしろ」


俺がふいと目線を逸らして左手だけ差し出すと奴は失礼します俺の手をとってぎゅうと
握った。


「こんな腐りかけの死体に触れられるのは嫌かもしれませんけど」


そう苦笑する。


「別に不快ではない。それに不快だったらお前を召喚なぞしない」


血がもったいないからな、とつけたすと奴はほっとしたように笑った。


「ありがとうございます」


「……お前、私の手がそんなに好きなのか?」


頻繁に、とは行かないまでもよく左手を貸している気がする。


「えぇあのその、あったかいので。」


そんな事を言われたのは初めてだ、と返すとそりゃあ死体と生者ですよ、と返される。


「というか、俺の体温で腐ったりしないのか」


「一応人外的な存在ですよ。それに、虚無界はとても寒かったので。」


もうあそこには行きたくないと小さく呟いた声が聞こえた。


「……心配するな。お前は戻さない」


ちょうど仕事が一段落付いたので、空いた右手でわしゃわしゃと頭を撫でてやる。


「マスター」


「なんだ」


「ありがとうございます」


「あぁ」


この死体と一緒に居るのは苦ではなく、むしろ一人きりの時より、


「どうしました、マスター」


「いや、なんでもない」



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補足しておくと夢主はゾンビです。一応青エク公式の方で、
グールなどとは別物だということで。
一応このゾンビちゃんは元人間で、ヨーロッパの貴族的なところの子かなと。

右目どっか行っててガウス先生と眼帯おそろいとか初対面のときに夢主ちゃんがほとんど裸みたいな感じwithボロ布で出てきてネイガウス先生が頑張って手に入ったのが多分男子私服とかそんな話も考えました。びた一出せませんでした。ちくしょう。


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