Story
一ヶ月


恋人ができてからの一ヶ月間、やけに仕事が忙しくて恋人に会う暇がない。


(……しかもその仕事を割り振っているのが当の恋人だなんて!)


どう考えてもあからさまに仕事量は増えて恋人と一緒にいる時間は減っている。


「……なんでだろ」


なんで、なんて、理由を考えるとどうしても悪い方向へ行ってしまう。


「浮気、とか?愛人さんと、いるのには、やっぱ僕邪魔、だよなぁ……」


口に出したら一気にそういうのが全部本当に思えてきた。


「あほらし」


泣きそうになった時は寝るに限る。


自室のベッドにダイブしてそのまま意識を手放した。


…………


「おい」


しばらくして、聞きなれた尊大な声に起こされる。


「…………お久しぶりデス」


「何機嫌悪くしてんだカス」


「だってザンザスが僕を避けるから」


そう言ってやるとザンザスは気まずそうに僕から目を逸らす。


「ねぇザンザス、やっぱり僕じゃ駄目?」


僕がそう訊くと光の速さで脳天にチョップ落とされた。


拳骨じゃないだけ手加減なのかもしれないけれどわりと本気で痛い。


「お前がいい」


がしりと肩を抱き寄せられる。


「愛してる」


「……ありがとうございます。」


そういえばこの人からこんな言葉を聞いたのは初めてかもしれない。


あぁそうか。


「ザンザスさぁ、僕の扱い分からなかったんだ」


「黙れカス」


図星らしい。


「ねぇザンザス。それってつまり僕をちゃんと恋人として大切にしたいって事でいいの?」


「…………勝手にしろ。」


付き合って一ヶ月。やっとこの人は多分恋人としては相当に可愛いけれど同じくらい面倒くさい部類だという事が分かった。



-------------------------------------------
柚夏リク/ザンザスと夢主
うちのザン様がヘタレ臭い件。前から。
リクエストありがとうございました!
返品/お持ち帰りは柚夏のみ可!


[戻る]

 


「#オメガバース」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -