彼に呼ばれて彼の授業準備室に行ったら片付けの手伝いを言い渡された。なぜだ。
でもまぁしかしこの部屋は散らかり放題だし整理整頓はそこまで苦にならない。
「先生、話ってなんですか?」
「お前の進路の話だ。」
「はい?」
「お前、医工騎士、竜騎士、騎士になろうとしているだろう」
「あぁ、はい」
最近になってからだが、医工騎士の勉強も始めた。少しでも周りのバックアップができ
るようにと。正確には彼の。いつも貧血気味な先生の。
「それ自体は別に悪い事じゃない。だがやはり候補生からいきなり三つ称号を取得する、
というのは無謀だ、と言われている。」
「……でしょうね」
自分でも無茶だと思っている。
「だが、お前ならやれると私は思っている。」
「え」
他ならぬ先生にそんな事を言ってもらえるなんて。
「ありがとうございます。」
彼は私のその言葉を聞いて少し頬を緩めたあと、そういえばといった体で訊いた。
「…………お前は何故そんなに強くなりたがる。」
「なんとなく、ですよ」
でも私はそんな彼にまた嘘をつくのだ。
窓の外はもう夕暮れだった。
彼のくれぐれも無理はするなよ、という善意の言葉にも私は嘘の肯定を返した。
だって私はあなたを守りたいのだから。
嘘つきの夕暮れ