私があの先生の授業を楽しみにしているのは、分かりやすいから。
私に悪魔を召喚する才能は無かったけれど、彼の授業は丁寧で好きだ。
彼は既婚者らしい。というかやもめらしい。
「ネイガウス先生」
「なんだ」
「資料運ぶの、手伝いましょうか?」
「すまん、頼む」
いつも貧血気味でふらふらしているこの人をなかなか放っておけない。
つまり私がおせっかいなのだ。先生に対しては特に。
「あ、ここに置けばいいですか?」
「あぁ」
助かった、またよろしく頼む、と先生が言う。
また、次がある事が嬉しい。
はい、と返事をして教室に戻る。
そうだ私は先生を尊敬しているそしてきっと、彼の事を好ましく思っている。
予防線だらけの恋