お嫁に来ました、先生


この年になってまさか相部屋とは。

妻が死んでから独身寮に戻ったのだが、前から二人部屋しか空きがなく、同居人さえいなければ別にかまわないと今までは思っていたのだが。

「まったくあの悪魔め……」

いきなりすみません☆とにやつく奴の顔が見えるようだ。

そんな声色で言われたのは「新米祓魔師の同居人が来る」ということだけだ。

後数分で来るらしい。

とりあえず部屋全体にあった自分の私物は自分のスペースに撤去したが。

一時間ではこれが限界である。


すると玄関のチャイムが鳴った。

どうやら例の同居人が来たらしい。

ドアを開けると、ぺこりと反射的に頭を下げられた。

その同居人は、

「おい」

「はっはじめまして、今日から同室になります、って、え?」

今年卒業したあの、俺の元生徒だった。

どういうことだと思った瞬間、携帯が鳴った。

あの悪魔からである。

あれ?なんで?と慌てている彼女から距離をとる。

「どういうことだ」

「だってあなたの部屋しか空いてなかったんです。あなたなら別に妙齢の女性と相部屋でもなんとも思わないでしょう?それに彼女あなたのお気に入りでしょう?」

彼女もあなたに悪いイメージは持っていないでしょうし、さしずめ相思相愛円満解決、いうなれば、お嫁に来ました、先生。というところでしょうか

生徒教師萌え!幼な妻なんてうらやましい!とほざいているのを無視し、電話を切る。

そして事情が飲み込めていない彼女に事情を説明すべく口を開いた。


別にまんざら不快でもない自分の信条がよくわからない。

お嫁に来ました、先生