次の日、何とか熱が下がったので、だるい体を引きずって塾にだけは顔を出す。
「大丈夫?ねぇ、生きてる?」
「生きてる……」
授業中は、授業中だけはなんとか取り繕えたが、休み時間は限界である。
「お、そういえば、」
今出て行ったばかりの湯ノ川先生が引き返してきたので慌てて居住まいを正す。
しかもどうやら私が呼ばれている。
「なんでしょう?」
「ネイガウス先生から伝言ー」
ほい、と渡されたメモ書き。補習授業の時間が書かれた簡潔なメモ。
「あと俺の授業もどっかで補習受けに来たかったら来いよー」
「はい。」
「というかネイ先生に気に入られてる生徒なんて俺初めて見たわー」
「え」
聞き返そうとしたが湯ノ川先生はすでに廊下の向こうだった。
それが本当なら、密かに嬉しいようなのだ。
秘て密やかに貴方を愛す