君が儘に


案の定というかなんというか、結局雨のせいで次の日熱を出した。

この程度で熱を出すようなら、祓魔師になんかなれるのだろうか。

でも多分、熱の原因は雨以外にありそうなのだが。

「ネイガウスせんせぇ……」

熱で頭がぼうっとしている。そうじゃなきゃ何もないのに彼の名前を呟けるはずがない。

「せんせい、ねいがうすせんせい、すき、です、」

彼に言える訳はないけれど。言うつもりもないけれど。

だってあなたは、まだ、亡くなった奥さんが好きなんだから。

ねぇ、先生。わかっているんだ。私は。

あなたの思うとおりにしたいと思っているから。

あなたの、今の精一杯の幸せを願っているから。

「先生、」

とにもかくにも、早くこの熱を、風邪を治して彼の授業を受けたい、なんて。
君が儘に