Story
「ねぇ、ファウスト、いや、メフィストフェレス」
「なんです?その名前をあなたに教えましたっけ?」
「ねぇ、私は悪魔が嫌いなの。私の両親は悪魔に殺されたわ」
「存じておりますよ」
「ねぇ、私はあなたが好きなの。ヨハン・ファウスト5世」
「メフィストフェレスの私は好きではないと?」
「いえ、私はあなたが好きよ。でもね、今まであなたからもらっていた言葉が信じられなくなってしまったの」
薄情な女とお思いでしょうね、と彼女は笑った。
「でも私は、敵味方の種を超えた真実の愛だとかを、すぐには信じられないの。」
ごめんなさいと彼女は謝る。
「いいえ、いいのです。貴女のそんな性格は重々把握しているつもりですしね。」
「ありがとう、ファウスト」
「いえいえ。このくらい当たり前ですよ、」
私はそう答え微笑む。
「ファウスト、お願いがあるの」
「なんです?」
私にできることならなんなりと。
「いつもみたいに、抱きしめて、愛してるって言って」
今、不安なの、苦しいの、
あなたが悪魔だと知っても嫌いになれない私がよくわからないの、もしあなたを嫌いになったら、私はとても寂しいみたいなの、と彼女は言った。
「えぇ、なんなりと」
いつもみたいに愛してるっていって---------------------------------------------
夢企画サイト「
星を見る人」さまに提出。
すばらしい企画ありがとうございました!
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他の方がすばらしい悲恋とか書いてる中に
こんなひねくれた作品すみません。
一巻でのメフィの表向きの名前(ファウスト)が出たきり
このネタ出てこないなと思って。