Story
「貴女が一言私に言えば、私は貴女の為になんだってするんですよ」
「……知ってます、メフィストフェレス様」
「堅苦しいですね、貴女は。」
百年経っても変わらないままだ、と彼は笑う。
「だって私は精々が中級悪魔、しかも半端に人間の血が混じってると来てる。」
あなたのような上級も上級の悪魔と私は最初から釣り合わないんですよ、と私は返す。
「あぁ、貴女は堅苦しいんじゃなくて、強情だったんでしたっけ。」
もうそろそろ私にほだされて下さいよ、と彼が囁く。
「しつこいですよ、メフィスト様」
「せめてメフィストさんとでも呼んでください。貴女から様付けなんて悲しい限りです」
「それは命令ですか?」
「とんでもない、私個人としてのお願いですよ☆」
「分かりましたよ、メフィスト……さん」
私がそう呼ぶと彼は嬉しそうな顔をしながらもため息をつく。
「さん付けになるまでに百年かかるなら、私たちが結ばれるまで千年はかかるんじゃないでしょうか」
やれやれまったくと首を振る彼。
「大前提結ばれないですよ」
「そんな事ありませんよ?」
なぜならば、と彼は私に顔を近づける。
「貴女は私と結ばれたがっているのですから」
「そんなこと、あるわけがないでしょう」
「いえ、貴女は私とそういう関係になる事を望んでいる」
さも当たり前のように抱きすくめられる。
「百年前から言っているでしょう。貴女の願いは私が何でも叶える、と」
「やめてくださいよ、それ以上は」
だって私がさもあなたに百年前から惚れているみたいじゃないか。
「そう言っているんですよ」
「……メフィストさん、これは、あくまでも、妥協ですからね。」
私は、あなたを愛しています。
「やっと言ってくれましたね☆」
私も貴女を愛しますよ、と笑った彼が、つい愛おしく見えた。
その願い、叶えましょう
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企画「
青、逢う」さまに提出。
素敵企画ありがとうございました!
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結局、願いが叶ったのは、叶えてもらったのはお互いなのだと思います。