Story
いつものように食材を買いに近所のスーパーに行った。
すると兄さんがそわそわしている。
「あのさー……雪男ー……」
「頼みたい事があるなら手短に。」
「何でわかった!?」
「何年兄さんの弟をやってると思ってるの」
「だよなー……」
兄さんは観念したように顔を赤くして、
「その、明日弁当、三人分作る事になってよぉ」
「三人分?僕と兄さんと後誰?」
「あいつ……ほらあの塾で一緒の」
ごにょごにょと兄さんが呟いた名前はなるほどそういう事か。
「好きな子にご飯作ってあげる約束したの?」
「そっそそそそういう訳じゃねぇよ!?ただほらあいついつもなんか昼食ってないみたいだしそれじゃ体にわりぃぞって言って今度お前の分も作ってやるよって俺が勝手に言っただけだ!」
「はいはい。文章が支離滅裂になってるよ落ち着いて兄さん」
どうせ彼女と兄さんの事だから彼女が兄さんをうまく乗せたのだろう。
まったくお似合いの二人だ。
「じゃあ兄さんの初恋を祝って今日はお赤飯だね」
「ばっかそうじゃねぇっつってんだろ!」
それに作るのは俺じゃねぇか、と兄さんは言って野菜売り場の方に歩いていってしまった。
「待ってよ兄さん」
それにしても、彼女が義姉さんになるのか。
それはそれで悪くないかもしれない。