Story
「おなかすいた、ねぇ燐」
「もーちょっとでできるから待ってろ」
エプロン姿で台所に立って手際よく料理をしている彼は私の恋人である。
正直女子力は私より数万倍高い。
というか料理をしている姿が卑怯に様になる男子である。
バレンタインデーに逆チョコで手作り渡されたときのあの複雑な気持ち。いや大変おいしかったけど。
「ちゃーはん?」
「んー。」
二人分の皿を運んでくる燐。
「いただきまーす」
「いただきます」
今日も燐のご飯は安定しておいしい。
「燐の作る料理はいつもおいしいよね」
そうか?と嬉しそうに笑う彼。
燐はいい主夫になると思うんだ、マジで。
「ねぇ燐」
「ん?」
「将来的には私が燐を養うから燐は毎日おいしいご飯作って待っててね」
お?おう!と笑う彼はおそらく今の言葉の内容を理解していない。