Story
心配そうに見てる親と幽と。
「鬼那はっ!?」
「兄さん、鬼那ちゃんはそっちのベッド。」
そこに寝ている鬼那は、
ぼろぼろで。
俺が壊した。助けようと思って俺が
鬼那を壊したんだとそのとき知った。
結局この事件は鬼那が変態に誘拐されそうになってそれを俺が鬼那ごと壊したというだけだ。
数週間後、鬼那に呼ばれて俺は鬼那の病室に居た。鬼那はもうほとんど回復してるらしくベッドに起き上がっていた。
「ねぇ静雄」
「なんだよ」
「ありがとう」
「何がだよ」
「助けてくれて。」
酷いことを言われる事を予想してた俺は拍子抜けした。でもこの力んだ気持ちが行き場をなくした。
「なんでだよ!俺はお前を壊したんだぞ!」
「でも、静雄がいなければ僕はもっと酷いことをされてたと思うしヘタすれば死んでたし。それに静雄は助けてくれようとして助けてもらえたんだからありがとうだよ。どこもおかしくない。」
「でも!」
「静雄、僕さぁ、転校するんだ」
息がとまった気がした
「…………俺の、せい?」
「お父さんの仕事。前から決まってた。」
「なんで言わなかったんだよ」
「だって静雄と最近話せなかったから。ごめんね。」
今気がついた。こいつは、全部自分で背負う。
俺が全部悪いのに。
「静雄。僕がいなくなったらさぁ、僕のことは忘れてよ。」
「なんで!」
「静雄さっきからなんでしか言ってないね」
「お前が変なことばっか言うからだろ」
「本当のことしか言ってないよ」
「…………」
「とりあえず、僕明日退院して、すぐ引越し。だからもう僕のことは忘れてね。覚えてちゃだめ。もしまた会ったりしても絶対に知らんぷりね。」
「……じゃあ、今日は?」
「今日なら、僕は静雄の友達。」
今までありがとな。」
「どういたしまして」
最後に一つだけ言えなかった。
「だいすきだ」
つまりこいつが俺の初恋。