Story
インドアな仕事なのに意外と長い距離を走っても息が切れない鬼那だった。
汗は若干かいているものの息はそこまできれていない鬼那が、俺にぺこりと頭を下げた。
「すみません、こんなことになっちゃって」
「……いや、お前のせいじゃねぇだろ」
というかよくよく突き詰めれば俺のせいだ。
「いえあの、せっかくの休日なにに、台無しにしちゃって。」
「……別に構わねぇよ」
前半は充分に楽しかったし、後半は後半で……まぁ手ぇ、繋げたんだよな。
「またこうやって出かけられればいいな。」
そう付け足せたのは俺にしては上出来だったと思う。
鬼那は一瞬ぽかんとした後、はい、と笑った。
それにしても鬼那にあの時きっぱりと何もないと否定されたのが若干傷ついたなんて俺は、女々しい。