Story
カフェを出るとなにやら周りが騒がしかった。
「何かあったんですかね?」
鬼那が怪訝そうな顔をする。
チンピラ的な人種がこちらをじろじろ見ている。
というかあいつらが見ているのは、鬼那か。
俺らがとりあえずこの場から離れようとするとチンピラの一人がにやにやと下卑た笑みを浮かべこちらに近づいてきた。
「へーいーわーじーまぁー?彼女連れとは随分いいご身分になったもんだなぁオイ?」
「あぁ゛?そもそもこいつは彼女じゃねぇしなぁ」
「そうなのぉ?ってだぁれもそんなの信じねえよっ、と!」
チンピラが鬼那に掴みかかろうと――――
「鬼那!」
俺は動けなかった。隣にいたのに。また、あのときみたいになったら、
しかし、
「触らないでください」
バチィっと音がしてチンピラが手を押さえてうずくまる。
「鬼那!?」
「静雄さんとは別に全然これっっっぽっちも何もありません。余計な詮索しないでください。」
そう言って鬼那はにっこり笑う。
その手には警棒型スタンガン。火花がバチバチと散っている。
それをかばんにそそくさとしまう鬼那。そして
「静雄さん、こっちです。」
そう言って俺の手をとり走り出した。