Story
そう俺達に声をかけたのは
「女!?」
「あ、はい、今日、取材をさせていただく凪原です。あ、もちろんペンネームですよ」
どこかで見覚えのある顔の女。どことなく中性的な雰囲気の。
どこかで。
「今日は僕の取材、受けてくださいましてありがとうございます」
こいつ、一人称僕なんだな。女なのに。
女なのに?
…………もしかして
「鬼那、なのか?」
「あれ、なんで平和島さん僕の本名知ってるんです?」
そうだ、確かこいつは自分の事は忘れろとか言ってて。
「お前俺のこと前から知ってたろ」
「まぁ、平和島さん池袋では有名ですしね。」
「そういうことじゃなくて……」
「とりあえず、今日はよろしくお願いします」
「おい」
話題をそらされた。
…………しょうがない。
「ありゃ、二人とも知り合い……じゃないよな」
「はい、赤の他人です」
きっぱりトムさんにむけて言い切る。
「そっかーそうだよな」
「そうですよー」
鬼那がにこやかに言う。
「じゃ、取材始めましょうか。すっかり忘れてました。」
「あ」
「それではですね―――」