骨にもキスの痕が残ればいいのに

愛している

そう言った彼に私はついに言葉を返せなかった。

どんなに口付けを交わしてもどんなに抱き合っても私は彼をこの手に置いておく決心が付かなかった。

だって彼は人間だから彼はどうせこの手から居なくなってしまう。

ならば彼を本当に自分のものにしてしまえばよかったのかもしれない

悪魔が臆病風に吹かれてどうするというのだ。

こんなに早く、いなくなるとは思わなかった。

むしろ彼はこのままでずっと自分の隣に居てくれると錯覚していた。

そんなはずあるわけないとずっと言い聞かせていたのに。

どこかでもしかしたら彼とずっと一緒にいれるかもしれないと勘違いしていた。

「あははは!本当に私は救いようの無い愚か者でしたね!」

まったくもって傑作だ。笑いが止まらない。

さらに傑作なのは顔につたう雨のべとべとした不快感の中にかすかに混じる塩の味。

なぁ獅郎。もしお前が生きていたときに戻れるなら私は何をするだろうか。

後悔しだすと止まらなくなる。
もう人間である彼は真っ白な骨になってしまった。

あの何千回と交わしたキスが、今更恋しくなるなんて。

骨にもキスの痕が残れば良いのに

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バッドエンド藤メフィ。
メフィーが獅郎を受け入れなかった結末。
タイトル:群青三メートル手前 様。ありがとうございます。



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