うれいごと

「まったく、何の真似ですか」

「何の真似もしてねぇよ」

珍しく何もないし盛ってもいなさそうなのに藤本が抱きついてきた。

いつものちゃらけた表情はなく、そのためいつものように無理にひっぺがせずにいる。

「……いや、お前と最近会ってないなとおもってな」

「一昨日会ったばかりだろう」

「……いやほら一日千秋とか言うだろ」

「あなたがその言葉を知っていたことに驚きです」

「馬鹿にすんなよ」

ひくっと頬を上げる藤本。あぁ通常運転に戻ってきた、気がする

……そういえばこいつとは、人間の時間に換算するとかなり一緒にいるんだと気づき、
少なからずこいつの行動パターンは把握している事にも気づく。

つまり、

「人間風情に悪魔の心配をされるなんて!私も堕ちたものです」

「けっ可愛くねぇの。まぁどうせお前の悩みごとなんてどうせゲーム発売が延期になったとかその程度だろ?」

「その程度とはなんですその程度とは。」

まぁあなたは別に知らなくてもいいんですよ。

どうせ私の憂いていた理由なんて無意識下でもあなたの事でしょうから。

あぁまったくもって不愉快だ!なぜこの私が人間ごときに心躍らされたり悩みの種を作らされたりするんだ!

「獅郎、次女性をナンパしたという情報が私の元に入り次第、その唇噛み千切るからな」

「あー……ばれた?」

「当たり前ですよ」

まぁあなたと話すだけで、大体その不本意な憂いは晴れるんですが。


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藤本に隠れて無意識に一喜一憂するメフィー
何で不機嫌なのかは分からないけど不機嫌なことはわかる藤本。
365日企画、憂いのボツネタ



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