はい。あともうちょっと、経ったよ。
彼に、好きです、とそう伝えた。
「親愛の情ではないんです。これは多分恋愛感情なんだと思います。
「そう、か」
彼はとまどっているようだった。それはそうか。
僕ですらまだこの感情がよくわからないのに。僕じゃない彼がわかるわけがないのだ。
「それで、お前は俺にどうしてほしいんだ?」
彼のその言葉に少し考え込む。
「…………きっと、恋人同士になってほしいんだと思います。わがままを言っているのは分かるんです。でも僕は、あなたが他の人に盗られるのがきっと嫌なんです。ねぇ虎徹さん、」
僕と、お付き合いしていただけませんか。
それだけ喉の奥から絞りだす。
「べつに今すぐじゃなくてもいいんです。もう少し考えてくれていいんです。」
「じゃあちょっと考えさせてくれなー」
そう彼はにへらと笑う。
「えぇ」
僕もついほっとする。
「いいぜ」
「は?」
「なんだよその顔ー」
にやにや笑う彼。
「え、だってさっきちょっと考えさせてくれって」
そう言うと彼はしたり顔で、
「あともうちょっと、たっただろ?」
これから、も?よろしくな、と笑う彼になんだか拍子抜けして。
「よろしく、お願いします。」
「どうしたんだよバニーその顔」
ふにふにと頬を引っ張られる。
彼の手が濡れているのを見て、自分が泣いていた事を知った。
てっきり笑っていたと思っていたのに。
はい。あともうちょっと、経ったよはい。あともうちょっと、経ったよ
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虎が上手な兎虎
[目次]