まるで、いつかの
「菊ちゃん!」
「アントーニョ、さん」
彼と会うのはいつぶりだったろう。
まして、名前を呼ぶだなんて。
「菊ちゃん!菊ちゃんや!」
彼はぱぁっと嬉しそうな顔をして、一直線にこちらに向かって来る。
「久しぶりやなぁ!」
そしてぎゅうっと抱きしめられる。
「ちょっアントーニョさん!」
「その反応も菊ちゃんやなぁっていひゃいいひゃい」
彼の頬を照れ隠しにみょーんとひっぱる。
「いっいきなり何してるんですか!」
「ほんっと、菊ちゃん変わらんなぁ」
「……前にもこんなやりとりしましたよね」
「しょっちゅうしたなぁ」
そう言って彼は笑った。
まるで、いつかのまるで、いつかの
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