馬鹿が見る

「……あっちゃー……あー……」

またやってしまった。どうして自分は彼女に対してばかり失敗してしまうのだろうか。

「まったくいやになるなぁ」

他の女性というか人間全般ならそれなりにうまく立ち回れる自身があるのに。

そういえばずっと前にもこういうことがあった。

たしか小学生だったか。いつものようにささいな事に口論になって。

『うるさいんじゃこの蛇顔が!そんな顔しとるからいつまで経っても友達一人もできへんねん!』

すぐさま言い返してくるかと思ったら、ぐっとうつむいて逃げられた。

今思えば普通に好きな女子を泣かせる男子の構図なわけで。

とりあえずあのころの自分に拳骨を落としたい。

というか戻れるものなら戻りたい。同じ徹は踏まない。

だから数分前に戻りたい。いやそう思っている時点で同じ事を繰り返しているのだが。

『お前の蛇顔なんてもう見とうないわ!』

本当に自分は馬鹿だ。本当に見たくないのは彼女の泣き顔だ。

あんな顔なんて一回でも見ればいたたまれなくなる。

……とりあえず長い付き合いなので、彼女がこんな時に行く場所なんて三つは上げられる。

だから、追いかけて、名前を呼んで、謝ろう。

馬鹿が見る

馬鹿が見る
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蝮ちゃんの地雷は知っているのについ踏んじゃう柔造のお話。
正直この企画は水無の雑食ぶりを示しているだけ。



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テーマ「人外ファンタジー」
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