えっと
「ねぇ、お前今から王子の嫁ね」
「……えっと、」
今そこですれ違おうとした金髪の外人さんしかも頭にティアラ付けてたり目は髪で隠れてたり、に流暢な日本語でプロポーズされたら誰でも言葉につまると思うんですよね。えぇ。
「だから、お前今から王子の嫁、つまり姫」
一介の学生から姫に格上げされた。
「えっと、理由をお聞きしても?」
「だってお前可愛いし、面白そうだし?」
後者はよく言われますが前者をそんな面と向かって言われたのは初めてです。
「だからといってなんでこんな初対面の外国人に?」
そう問うとしばらく沈黙された。
一拍のち、
「ぶはっ」
笑われた。
「外国人とか別にどうでもいーの。王子が姫に惚れただけー」
鼻をちょんとつつかれる。
「んじゃまぁそういうわけで、拉致けってーい」
「えっ、とちょっと、」
抵抗むなしくひょいと担ぎ上げられた。
月並みな小説のようだが、思い起こせばここから私の普通じゃない人生は始まったのだ。
えっとえっと
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やまなちおちなしいみなし
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