鋏が目の前で縦横無尽に動くのを見ている。

「……そんなに見られるとやりにくいんだけど」

「いいじゃねぇか」

「何がそんなに面白いの?」

「全体的に」

正確には鋏じゃなくこいつの手元を見ているから。

ちょきちょきと紙切れが人の形になっていく。

「すげぇよなお前」

「ただの趣味だよ」

俺には一生できないだろう


しばらく無言の時間が続く。

プリン食いてえ。後で一緒に食おう


「あ、できたよ」

「どうしてこんなになれるんだ?」

「どうしてと言われても……」

困ったように笑う。

「とりあえずプリン食べる?」

「食べる?」

俺がプリンとスプーンを二人分取りに行く間にあいつは鋏を片付けに行った。


とスプーン



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静雄の日なので



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