君が捨てた
「……君は、誰かな?」
「誰、なんてひどいなぁオイ。忘れちまったのか?」
誰かなんて本当は分かっていた。
自分と同じ姿形をしている彼。でも彼の髪は赤い。そして僕の髪は青い。
その赤い彼は自嘲気味にいう。
「まぁ俺らは機械だからな、人間に記憶データ弄られたら終わりだ。」
でも、と彼は僕をまっすぐ見据える。
「俺のことを忘れたのはお前の意思だろ?」
まったくもってそのとおりだった。
僕から生まれたバグである彼を、僕は自分の意思で切り離したのだ。
彼はバグだから僕に寄生しないと生きていけない。
だからあのとき消えたはずだったのに。
「一方的に悪者扱いかよ。あーあ嫌になんな。」
彼はにやりと笑う。
「お前自身がバグ、つまり不良品じゃない理由はどこにあるんだ?もしかしたらお前が捨てた俺が正規なのかもしれないぜ?」
君が捨てた君が捨てた
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何がしたかったのか
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