夜叉

夜叉、というあだ名を持っている女子がいる。ぱっと見普通っぽいのだけれど怒らせると怖いらしく、それに纏わる伝説のせいである。

そして、俺の隣の席である。新学期早々同情の視線が痛い。ほうっておいてくれ。

しかもその現況であるところの彼女がじぃと俺を見ている。何かしただろうか。できるだけ目を合わせないようにしていたのに。

「な、なんでしょう」

この状況での沈黙に耐え切れなかった自分を誰かチキンと罵ればいいと思う。

俺のその唐突な問いに彼女は二三回瞬きをして、たいした用ではないのだけれどと言った。

「まつげ長いんだね」

夜叉さんは、俺の理解の範疇を超えている。

夜叉




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