愛した人
私は花束を買って、今は封鎖されてしまったホームへ下がりました。
意外にも先客がいたらしく、いくつかこじんまりとした花束が置かれていました。
私も花束をその中に紛れ込ませると、彼女が最期に立っていたであろうところに立ち、
最後に見ていたであろう方向をまっすぐ見つめました。
当然立ち入り禁止となっているので当時と違い無人で物寂しいホームであるのですが。
あの時何故私はここにいなかったのでしょう。何故彼女の傍にいなかったのでしょう
それでも私にとっての救いは(私の自分勝手な思いこみなのですが)彼女が死んでしまう
瞬間、たくさんの方々がいるにぎやかなホームの中で息を引き取ったのだということなのです。
愛した人
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