ありふれた光景
平和ですね、と私は恋人の上司と仲良く路上で缶コーヒーをすすった。
「待、ち、や、が、れ、このクソ蟲ぃぃぃぃぃ!!」
「やだなぁ君に待てと言われて待つ人間なんていないよ誰だって命は惜しいんだから」
平和だなぁ、と言ったトムさんの目の前一メートルを、引っこ抜きたてほやほやの標識が飛んでいった。
それにしても申し訳ありませんおごってもらっちゃって
いやいいのよ缶コーヒー一本くらい。
今度家でごちそうしますね、おぉありがとうな。
「それじゃあ俺もう帰るねぇ、次会うときまでには死んでてよ」
「それはこっちの台詞だ死ね!」
追うように投げつけられた自販機が重い音をたてて地面に激突した。
今日も池袋は平和である。
ありふれた光景
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