毒味
ココさんの膝にすっぽり納まって、私は彼の顔を見上げた。
「……どうしたんだい」
彼は怪訝そうに、でも案外不愉快でもなさそうな顔で、私の顔をうかがった。
「たまには甘えたって、いいじゃないですか?」
きょとん、と私が首を傾げてみると、彼は、少しだけ呆れたような顔で、私をみた。
(頭を撫でたいんだ、彼は)
未だに彼は、自発的に私に触ろうとしないのだ(今更じゃあないか、とは思うのだが)
「別に、ココさんの毒に犯されて死ぬんなら私、本望ですよ」
ひた、と彼の頬を撫でた私の手を彼は掴んだ。
「ありがとう、」
彼の唇は、ただの人間のものと同じ味じゃあないか。
毒味
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