切取線

切り取り線に沿って、彼の手紙が入っている封筒を切り取った。

そんなところが細かいのだあの人は。

どうせ書いてあることはたわいのないことなのにね。

それでもそのたわいのない手紙が着くと嬉しくなってしまう自分の単純さが恨めしい。

「だいすきですよ、ちくしょう」

彼の手紙を、専用の元菓子箱に大事にしまいこむ。

だいぶんたまったなぁ、と感慨に浸っていると、玄関のチャイムが鳴った。

「…………誰?」

こんな朝早くにたずねてくるなんて。

少し警戒しつつ外をうかがうと、なんと、

「なんで手紙出した本人が手紙と同時に来るのよ」

たまにはね、と彼は笑った。

切取線



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