愉快
ここまで愉快な人間というものに自分は出会ったことがなかった。
彼と出会ってそう思った。しかし、彼の息子はもっと傑作だった。
「藤本、お前は本当に死んでからも私を楽しませてくれるのだな」
くすり、とつい笑いがこぼれる。
「あの小さな子供が、あんな事を言うなんてな」
本当に傑作だ。
「礼は言わないがな。お前が生きていればもっと面白かったのですよ、藤本。」
ぽつり、とそう呟いてもどうしようもないのだが。
「愛していましたよ、少なくともその貴方の性格は」
いっそ貴方を私の器にできればよかったのかもしれませんね。
言っても詮無いことですけれど
愉快
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