雨売り

「雨売りと名乗るその男に出会ったのはもう一年も前になるでしょうか。
その人の格好はまるで昔話に出てくる江戸の飴売りのような格好だったので、最初私はそちらだと勘違いしてしまいました。彼がその肩から提げた木箱から、小さな雲を取り出すまでは。あれは夢だったのでしょうか。今でもそう思うのです。そかしあの時の透明な雨と次の日のニュース――確か45日ぶりの雨、でしたか――それに何より雨と全く同じ色をした、怖いくらい透明な彼の瞳は、とても夢だったとは思えないのです。
……こんなことを話しても笑われるだけでしょうね。」

雨売り



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