ぴちゃり

ぴちゃり、と風呂場で水音が反響した。

自分で自分のことがすべてできなくなってから、どれほど経ったのだっけ。

そう呟いたら彼はそんな事は気にしなくてよいのです、と笑った。

私の手足がちゃんとくっついているときには、見ることがなかった彼の笑顔だ。

そう考えると、手足なんてなんの意味があったのだろう。

彼は私の体と髪をすっかり洗い上げてしまうと、水がぼたぼたと滴り落ちている私の体を拭くと、満足げに私を抱き上げた。

「髪を乾かしましょうか」

(私がいなければ生きていくことすらできないようにして差し上げます)

そう眉一つ動かさずに私の手足を切断した彼をきっと私は、愛している。

ぴちゃり、とまた水音が聞こえた

ぴちゃり



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