空腹

夜勤中は、お腹が空くものであるのだけれど、当然ながら飲食禁止である。

だというのに隣ではクダリさんがむしゃむしゃと菓子を頬張っている。

それであの体型なのだからまったくもってうらやましい。というかむしろ呪わしい。

チョコの甘い匂いが部屋に充満している。拷問である。

「見回り行って来ます」

甘い匂いから逃げ出すように私は外へ出ようとした。

「待って待って」

クダリさんが私の口に何かを放り込んだ。

「……」

少し咀嚼してみると、どうやらクダリさんが好きそうな甘いガムである。

一応クダリさんに頭を下げて、私は改めて見回りに向かった。

しかし今日はクラウドさんとノボリさんがいなくて本当によかった。

あの二人に何か食べているところを見つかったらめんどうくさい。

空腹



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