抉り合い
ぼろぼろと泣きながら僕はノボリの腹をえぐっていた。
内臓ぐちゃぐちゃな、グロテスクな表現ではなく、不思議と血はばらばらと蒸発していった。
びちゃり、とノボリの返り血が僕の顔にはねた。
僕はそれをぬぐうことなく、ノボリの心臓を取り出して、
「…………まずい」
起き上がるとどうかしましたか、と隣で寝ていたノボリが訊いてきた。
「ん、ちょっとね、ノボリのことをぐちゃぐちゃにして食べる夢見ちゃってさ」
「私も、あなたを食べる夢を見ました。奇遇ですね。」
口の中にはっきりと血の味が残っていた、
抉り合い
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