まわれまわれ
行きたくもないパーティで彼と踊るのは二回目なのだが、くるくると彼にまわされるのはなんとなく不快なものがある。
「うぇぇ……」
「どうしたんです?」
「酔った……」
「これで!?」
三半規管弱いんですよこんちくしょう、そう言って私が彼から体よく逃れようとしたら彼はそれはいけない!と私の世話をかいがいしくやきはじめた。
(…………犬みてぇ……………)
いや実際の犬ならうっとおしいと思うこともないんだけど何分こいつ人間だし。
「だいじょうぶですか?まだ治らないならもっと静かなところに行きましょうか」
そう言って彼は私をひょいと抱え上げた。
「ちょっと何するんですか!?」
「大丈夫ですおじさんよりは軽いんで」
「そんなん当たり前じゃないですかセクハラでヒーロー呼びますよ」
「キングオブヒーローならここですが」
「うわそうだった」
まわれまわれ
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