マゾヒズム
「ねぇインゴ」
「……何でしょウ」
「インゴはさぁ、マゾヒストなの、ナルシストなノ?」
「……はァ?」
オリジナルであるところのあの方は。こんな言葉遣いはしない
しかしいくらコピーとはいえ、アンドロイドであり自我を持っているワタクシはやはり彼とは、オリジナルとは違うのです。
「言ってる意味がよくわかりませんネ」
ワタクシがそう返すとエメットはため息と煙草の煙をぶはぁと吐きました
「だってさぁインゴ、ノボリの事好きでショ?愛してるでショ?言えないような事たくさんしたいでショ?」
「…………」
あえてワタクシが何も言わないでいると、インゴはそれを肯定ととったのか更に話を続けます。
「自分とおんなじ顔に欲情できるってのハ、ボク理解できないんだけド。インゴはノボリにどういった愛情を抱いているノ?」
自分愛?親子愛?アァでもそうだったネ、情愛だっタ。そうエメットは言いました。
「ってことはインゴは同じ顔に欲情するんでショ」
「……同じ顔、ですカ」
「そうでショ」
何か違ウ?とエメットは首を傾げました。
「あぁでモインゴはマゾかもネ」
「…………」
だってノボリはクダリが好きなんだカラ、インゴはずっと片思イ。
エメットがそう歌うように言いました。
マゾヒズム
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