はんぶんこ
「半分こ」
あげる、とクダリさんが半分に割ったおまんじゅうを差し出してきた。
「あ、ありがとうございます」
この人が食べ物くれるなんて、と私が(おまんじゅうを食べながら)思わず疑いの視線を向けたらクダリさんは失礼な、と頬をふくらませた。
「僕だって半分こしたいときもあるんだよ。」
それに小さいときはなんでもノボリと半分こだったし、とクダリさん。
「あぁ、双子ですしねぇ」
「そそ、ケーキ半分ことかあの頃は不満だったなー」
「今は?」
「ノボリが譲ってくれる!」
「いい笑顔で言わないでください。というか一人一個買えばいいでしょう」
「まぁそうなんだけどやっぱり癖で一つしか買わなかったりするんだよね。二人とも。」
納得できるようなできないような。
「だからまぁそんな感じで大事な人とは半分こする癖がついちゃってるんだよね僕たち」
「ほう」
私が彼との会話を切り上げて仕事に戻ろうとすると彼に後頭部を掴まれた。
「痛いです」
「ねぇこの話の流れでスルーなの」
「何がです」
大切な人とじゃないと半分こなんてしない、って言ったでしょ何聞いてたの君。
「…………ちょっと照れくさかったからスルーしたんですよ馬鹿」
「僕馬鹿じゃないし」
というかクダリさんも若干顔が赤い。
「さては自分の台詞に照れましたね」
「うるさい馬鹿」
「私馬鹿じゃないです」
はんぶんこ
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